【予算1万円のワイシャツ選び】「土井縫工所」と「鎌倉シャツ」はどちらが買いか
土井縫工所と鎌倉シャツ、高い評価の本格派ワイシャツ
僕が今愛用しているワイシャツ、正しくはドレスシャツは「土井縫工所」と「メーカーズシャツ鎌倉(以下鎌倉シャツ)」の2ブランドである。土井縫工所が一枚¥8,800から、鎌倉シャツが一枚¥5,900からという価格帯で、量販店の3枚¥5,000のワイシャツと比べれば高いが、デパートでちょっといい生地のオーダーシャツを作ると¥15,000〜¥30,000くらいはするので、それに比べれば安い。
結論から言うと、土井縫工所と鎌倉シャツのワイシャツに極めて満足している。どちらも価格以上の高いコストパフォーマンスを持ち合わせていると思う。今回はこれらに満足している理由と、それぞれの違いについて書いてみたい。
僕のワイシャツ遍歴
僕も30代までは量販店の3枚¥5,000のワイシャツを愛用していた。当時は貧乏だったから(今も貧乏なのだが)、ワイシャツに着心地とかきた時のシルエットとかには全く拘ることはなく、とりあえずワイシャツを着てます、という事実があればあとはどうでも良かった。3枚¥5,000のシャツはペラペラのポリエステルで、シルエットもダボっとなんだか野暮ったく、それを隠すように派手な色や柄が展開され、襟裏やボタンホールに妙なデザインが施されていたりした。
しかし30代も終盤に差し掛かり、少しファッションに関心を持つようになると、もう少し上質なワイシャツが欲しくなった。
そこで、ネットで「ちょっといいワイシャツ」として評価の高かった土井縫工所のドレスシャツを1枚買ってみた。当時(2015年くらい)、土井のシャツは1枚¥5,000台から展開されており、これまで使用していた量販店のシャツと比べ3倍程度の価格だったのだが、最初に見たときはその滑らかで光沢のある生地の美しさに、ポリエステルのワイシャツばかり着ていた僕はため息が出た。実際に着てみると適度にウェストがシェイプされた体に沿うシルエットで、自分で言うのもなんだが2割くらい男前になったような気がしたものである。生まれて初めてワイシャツを着て嬉しい、という感覚を覚えたのだ。
ワイシャツに興味を持った僕は、土井よりも少し安いが評判の良かった「メーカーズシャツ鎌倉」のやいシャツを試しに買ってみたところ、これも十分納得出来る品質であったので、土井と鎌倉を交互に買うようになった。
その後土井縫工所のシャツは急激に値上げし、購入時にシャツが入っている袋を10枚集めると1枚無償というお得なサービスも突然終了した。コツコツと土井のシャツを買い続け、もう少しで10枚と言うところでの突如のサービス打ち切りに失望し、一時期は土井から心が離れてしまい、一時期は鎌倉シャツばかり買っていた。
時を経て今は両社を交互に購入しており、僕のクロゼットには長袖に限って言えば土井・鎌倉、それぞれ4枚づつのワイシャツが収まっている。
土井縫工所と鎌倉シャツを比較してみる
土井縫工所 | 鎌倉シャツ | |
創業 | 1952年 | 1993年 |
生産国 | 日本 | 日本 |
価格帯 | ¥8,800〜¥27,800 | ¥5,900〜¥18,000 |
縫製 | 巻き伏せ本縫い | 巻き伏せ本縫い |
番手 | 100〜140 | 80〜400 |
裄丈微調整 | 可(無償) | 可(¥2,200) |
形態安定シリーズ | 有り | 有り |
土井縫工所の優位点
- 「Made to Measure」と言うシリーズを選べば、裄丈だけではなく、カフス周り、着丈、ウェスト、ヒップなどの調整まで無償で出来る
- 生地が堅めで着るとカチッとした印象
- ボタンは全て白蝶貝、裾脇のピースなど細かいディテールへのこだわりがより強い
- 生地の見本帳を無償で送ってくれる
- サイズ確認用のシャツを無償で送ってくれる(要返却)
鎌倉シャツの優位点
- 80番手以上の高品質な生地を使用しながら¥5,000台からと求めやすい価格帯で展開
- 400番手という高級な生地のシャツも¥18,000という驚異的低価格で購入出来る
- 生地は柔らかめでリラックス出来る印象
- シャツ以外にもトラウザー、ジャケットからネクタイといった小物まで、ビジネスシーンのファッションアイテムが一堂に揃うラインナップの豊富さ
土井縫工所と鎌倉シャツのサイズ比較(ネックサイズ85cmの場合)
土井縫工所(ダーツモデル) | 鎌倉シャツ(スリムフィット) | |
肩幅 | 44cm | 45cm |
胸囲 | 104cm | 106cm |
腹囲 | 86cm | 92cm |
サイズ感については同じサイズ表記の場合、鎌倉シャツの方が僅かに大きい。特にウェストのサイズ差は大きく、土井のダーツモデルはウェストがシェイプされたシルエットで着た時のシルエットが美しい(腹が出ていなければ)。また同じ85cmの裄丈を選んでも鎌倉の方が土井に比べて1cmくらい長い。
土井縫工所と鎌倉シャツ、買うならどちらか
品質の高さはどちらも優劣つけ難い高いレベルだが、僕自身、あえてどちらが好きかと問われれば、僅差で土井縫工所に軍杯が上がる。土井のカチッとした生地と、タイトな着心地とシルエットが好きなのである。かといって鎌倉シャツが土井縫工所に劣っている訳では決してない。¥5,900でこの品質のシャツが手に入るというのは、やはり一般的なサラリーマンにとっては大きな魅力だ。また鎌倉シャツはシャツ以外のビジネスファッションのアイテムの充実が目覚ましい。実際、僕の愛用しているネクタイとコートとクールビズ用のトラウザーとジャケットは鎌倉シャツで購入したものである。
ワイシャツに手を抜くと損しますよ
たかがワイシャツ、どうせジャケットの下に着てしまえば見える範囲はごく僅かなのだから安物でもいいや、とお考えの方がいたら、余計なお世話だがワイシャツに手を抜くと損をしますよ、と言いたい。まず着心地が全然違う。1日の大半を着て過ごすアイテムなのだから、着心地がいいものを身につけた方が絶対に良い。それにワイシャツが相手に与える印象への影響力というのは決して無視出来ない。特に注視しなくとも、相手の視界の真ん中にくるのがワイシャツなのだ。
その点、僕ら中年サラリーマンにとって土井縫工所や鎌倉シャツのワイシャツは、気軽に何枚も買える価格ではないけど、着心地の良さを、ジャケットを脱いだ時のシルエットの美しさ、見てわかる素材の上質さなど、少し頑張って買う価値が十二分にあると思う。
僕はワイシャツは色は白、胸ポケット無し、襟はセミワイドと決めている。ワイシャツはあくまで脇役である。目立ってはいけない。普通で地味で、けれど少し上質であること。これが僕がワイシャツ、いやビジネスウェア全般に求めることだ。
土井と鎌倉、どちらが買いか、という質問に簡単に結論を出すことは出来ないが、もしも少し上質なワイシャツに興味を持たれたら、是非一枚ずつ購入してご自身で試して頂きたいと思う。どちらを選んでも絶対損はしない。これは僕が保証する。