単身赴任の住民票は移す?移す必要はない?迷っている方に読んでほしい
4月から新たに単身赴任が決まっている皆さん、お疲れ様です。準備は着々と進んでいるでしょうか。あと10日足らずで一人での生活が始まるかと思うと不安と寂しさで胸がざわつく想いをされているかもしれませんが、まあ始めてしまえば何とかなるものです。一緒に寂しがりながら頑張りましょう!
さて、単身赴任の準備を進めるにつれ、多くの人が直面して戸惑うのが、「住民票は単身赴任地に移す(住所変更)するか、本宅のままにしておくか」という問題であろう。
住民票を移すべきか否かは単身赴任の期間と週末のライフスタイル次第
法律では居住地が変わったら住民票の住所変更をしなければならないことになっているが、これには条件付きで例外が認められている。その条件とは、
- 新住所に住むのは一時的で、元の住所に戻る見込みがある場合
- 生活の拠点が移動しない場合
の2点である。すなわち、例えば単身赴任が1年間と最初から決まっており、1年後には本宅に戻ることがはっきりしている場合、また単身赴任先にいるのはあくまで勤務がある日だけで、休みは基本的に本宅に戻るので生活の拠点はあくまでこれまでと同様に本宅である、という人は住民票の住所変更をせずとも良いとされている。
住民票を移すべきケース
次に、同じ単身赴任でも住民票の住所変更をするべきケースは、
- 単身赴任期間がはっきり決まっておらず、おそらく1年以上になりそうである。
- 休みの日は半分くらいは本宅に帰って家族と過ごすつもりだが、あとの半分、あるいは半分以上は単身赴任先で一人で過ごすことになりそうである。
- 休みの日は単身赴任先で図書館に行ったり、市営・県営の施設も積極的に利用するつもりだ。
- 折角だから単身赴任先の生活もエンジョイしたいし、そこで人脈も作りたいと考えている。
ちなみに、僕自身はこのケースに大方当てはまるため、住民票の住所変更手続きを行っている。
気をつけなければならないのは、一旦転出届を出した以上は、必ず14日以内に新たな居住地で転入届を出さなければならない。転出届を出したままの宙ぶらりんな状態で放置していると法律違反となり5万円以下の罰金を課される場合がある。
住民票を移すことで享受できるメリット
住民向けの公共サービスを利用出来る
公立図書館での本の貸し出し、清掃センターへのごみの持ち込みなどは、地元住民以外でなければ利用出来ない。もっとも保険証やパスポートは住民票に関係なく手書きで住所を書き換えれば身分証明証になるので、その気になれば利用出来ないことはないが、住民税で運営されている施設を心おきなく利用したいのであれば、やはり住民票を移しておいた方が良い。
単身赴任先で免許証の更新が出来る
免許証の更新が出来るのは住民票の登録地のみである。本宅に帰る機会がなかなかない方にとって、たまに帰宅したのに免許証の更新で時間を取られるのは癪だ、という方もいらっしゃると思う。住民票を移しておけば、単身赴任先での空き時間に免許の更新が出来る。
選挙に参加出来る
選挙に参加出来るのは当然ながら住民票がある場所のみである。単身赴任先に住民票を移しておけば、新たな土地での選挙に参加出来る。職場にもよるが選挙の前は結構その話題で盛り上がったりするものである。どのような立候補者、政党が支持されているかを知るだけでも、その土地の住民の気質を知る手がかりに十分なり得る。ただし選挙権を得るにはその場所に3か月以上暮らしていることが条件となるので、住民票を移動してから1か月後に市長選があったら、それには残念ながら参加出来ない。
住民票を移すことによるデメリット
もともと住んでいた場所での公共サービスの利用が制限される
住民票を移せばもともと住んでいた場所の住民ではなくなるのだから、そこの住民税で運営されている公共施設での利用は制限される。上記のメリットの逆説である。
もともと住んでいた場所での選挙に参加できない
これも上記のメリットの逆説である。もともと住んでいた土地であれば知り合いが立候補することだってありうるし、どの政治家が自分の住む地域のために働いてくれるか、真剣に考えられるかもしれない。見知らぬ土地の見知らぬ候補者など、誰を選ぶべきかピンとこないかもしれない。
家族との絆が断ち切られてしまうような気持ちになる
実際にはこれが一番大きいかもしれない。戸籍なんて所詮書類上の話ではあるが、書類上とはいえ自分一人が転出し、見知らぬ土地に転入するというのは家族との絆が断ち切られてしまうような気持ちになるのかもしれない。ローンを払うために必死で働いている我が家だって、世帯主が自分ではなくなってしまうのである。
住民票を移すことによって生じた思いがけないメリット
上記以外に、僕が実感した意外なメリットがある。単身赴任だが住民票を移したことを社員や取引先への自己紹介のネタにしてみたところ、相手との距離感がグッと近づいたのを感じたのである。他県から来た新しい上司など、地元出身の社員にとっては完全によそ者である。当然ながら最初は強い警戒感を持って迎えられる。相手の警戒感というのは敏感にこちらに伝わるものである。それを感じると結構傷つく。おじさんだって結構ナイーブなのだ。
そんな張り詰めた空気の中、社員を前にして初めての挨拶で「住民票を長野に移して長野の住民になりました、せっかくだから長野での生活を楽しみたいと思います。いいところがあったら教えて下さい。どうぞよろしく」と自己紹介したところ、張り詰めていた空気が少し和らいだのをはっきりと感じたのである。
また、得意先への挨拶回りでも同じことを伝えたところ、おおむね皆好意的な反応を示してくれた。自分の住んでいる土地に積極的に馴染もうとするよそから来た人に対して、マイナスの感情を持つ人はいないのである。
これは有効だった。
まとめ〜住民票は迷ったら移すことをお勧めする
このように、単身赴任先に住民票を移すべきか否かは単身赴任の期間の長さと生活スタイルによって決まってくる。住民票を移すと、なんだかそれまで住んでいた土地や家族とのつながりが断ち切られてしまうような寂しさを覚えるかもしれない。しかし、所詮は書類上の話である。
もしも上記の移すべきケースと移さなくとも良いケースのちょうど中間ぐらいの条件で、迷っている方がいらっしゃったとしたら、多少手間ではあるが是非移して新しい土地での限られた期間の生活を楽しむことをお勧めしたい。