【寝袋の普段使い】って正直どうなの?6年実践した自分が率直に語る
2018年4月、単身赴任生活を機に始めた「寝袋を普段の生活で使う」という半ば実験的な試みも早くも6年が経過しようとしている。
ネット上では「寝袋の普段使い」というキーワードで検索すると複数のページにヒットするが、多くは「普段使いにも使えそうな寝袋の紹介」に留まっており、長期間寝袋生活を実践している、というページにはなかなかお目にかかれない。
そういう意味では、僕のこの尊い(?)6年間の体験はこれから寝袋の普段使いを検討している人にとっては価値のあるものになりうるかもしれない。
また、「寝袋の普段使いにチャレンジしたけど自分に合わなくて早々にやめてしまった」というブログ記事も結構多い。こう言うのを見ると果たして大丈夫なのかと、不安になってしまうだろう。
そこで今回は6年間、実際に寝袋の普段使いを実践してきた僕が、寝袋の普段使いのメリットデメリット、正直なところどうなのかという点について、率直に語りたい。
僕が普段使いしている寝袋
僕が普段使いに使っている寝袋は「モンベル・ファミリーバッグ#1」という封筒型の寝袋だ。これを2枚持っている。
また寝袋の普段使いに不可欠なのが、寝袋の下に敷くパッドだ。これを寝袋の下に敷くことで、遮熱と適度なクッション性がもたらされる。
僕が愛用しているのがモンベルの「U.L. コンフォートシステム キャンプパッド50 180」という製品だ。厚さが5cmと厚く、長さが180cmあるので身長170cmの僕には十分なサイズだ。
それぞれの詳しい説明についてはこちらをご覧いただきたい。
封筒型寝袋で冬を越す知恵
ファミリーバッグ#1の製品説明のサイトを見ると、「最低気温-1℃まで対応」となっている。しかしこれは−1℃でも問題なく活動出来る様な装備をしていることが前提である。
普通のパジャマで寝る場合、ファミリーバッグ#1一枚では真冬の長野では寒くて眠れない。
そこで寝袋の上にもう一枚の寝袋を広げて掛けて、厳冬期はさらに上から毛布を掛けていた。これで何とかギリギリ凌ぐことが出来た。
昨年までは寝袋の上にもう一枚の寝袋を広げてかけていた
しかしこの前、もっと良い方法を見つけたのだ。
それは「寝袋in寝袋」という方法だ。文字通り、折り畳んだ寝袋の中に折り畳んだ寝袋を入れるという、実に単純な方法だ。中で寝袋がモタモタしてしまうのではと思ったが、いざやってみると特に問題はない。これが実に暖かくて、激しく寝返りを打っても平気だ。
今年は寝袋の中に寝袋を入れている
まるで自分が春巻の具になった様な気分だが、これが一番暖かい。
6年間の寝袋生活で感じた寝袋のメリット
1.初期投資が低く抑えられる
僕が使っているモンベルのファミリーバッグとコンフォートシステムキャンプパッド、この数年でだいぶ値上がりはしたが、合わせて買っても3万円あればお釣りが来る。
ベッドと布団セットを購入することに比べれば、十分安い。
寝袋もピンキリで、もっと安いのもあるが、あまり安いのは寝心地や耐久性といった面で不安がある。やはり名の通ったメーカーの製品が安心だろう。
2.部屋が広々使える
ベッドを部屋に置くとなると、どんなにコンパクトなやつだってどうしても一畳強のスペースを占拠してしまう。その点、寝袋は起きたらさっと畳んで、クローゼットの中に小さく収納出来る。パッドは畳むことは出来ないが、自立するのでクローゼットの中に立てかけておける。
僕の部屋は9畳弱の広さだが、この部屋にもしもベッドがあったら、さぞかし狭く感じることだろう。
小さな部屋は家賃が安いし、エアコンもよく効くから光熱費の節約になるし、掃除も短い時間で終わらせることが出来る。単身赴任の部屋は小さい方があらゆる面で良い。その限られたスペースを広々と使うために、寝袋はとても有効というわけだ。
3.見た目によらず寝心地は最高
人生のおよそ四分の一から三分の一は寝て過ごすのだから、その環境には妥協したくない。
寝袋は布団に比べると見た目が小さいので、狭くて寝心地が悪いのではないか、よく眠れないのではないかと心配されるかもしれない。
しかしいざ実際に寝て見ると、その寝心地は布団に決して劣ることはない。確かに大の字になることはできないが、考えてみると僕は出張先のホテルの大きなベッドでも大の字になって寝ることはない。いつも小さく縮こまって寝るので、僕自身は全く問題がない。この適度なタイトさが安心感をもたらしてくれる。
「体が痛くなるのでは」と心配されることもあるが、全くそんなことはない。
それは寝袋の下に敷いたコンフォートシステムキャンプパッドの出来の良さによるところが大きい。これのおかげで、サイズこそ小さいが出来の良いベッドと遜色ない快適な寝心地をもたらしてくれる。一つコツがあって、空気の量でパッドの硬さを調節できるのだが空気の量は少なめにしたほうが寝心地が良い。
寝袋の普段使いに挫折してしまった人は、たいてい寝袋を床に直接置いたり、極めて薄いシートを敷いたりしている。これでは床の冷たさが体に伝わってしまうし、体が痛くなって快適に眠ることは難しい。
試しに一晩寝袋を直接床の上に置いて寝てみたが、「キャンプのつもりで一晩くらいであれば我慢出来るが、毎晩ずっとは勘弁」という感じであった。
だから「寝袋の下に何を敷くかで寝袋生活の成否が決まる」と言っても過言ではないと思う。
3.手入れが楽
モンベルの寝袋の優れている点が「発散性」だ。
人間というのは寝ている間にコップ一杯の汗をかくと言われているが、モンベルのは特殊な繊維の形状のお陰で水分を瞬時に発散し、内部は常にサラリとした状態を保っている。従ってこまめに干す必要はない。
また丸洗いが出来るので、ダニの心配とも無縁だ。天気さえ良ければ冬でも3時間くらいで乾いてしまう。
寝袋のデメリット
色が派手で部屋と調和しない
僕のモンベルの寝袋は目の覚めるような鮮やかなオレンジ色、パッドは明るい緑色だ。まるで東海道線の電車のような組み合わせである。部屋の風景と全く調和しない。もうちょっとシックな色があれば嬉しい。しかし日中は収納してしまうので特に問題にはならない。
僕にとって思いつくデメリットはこれくらいだ。
ただし体が大きい人(身長180cm以上あるいは体重80kg以上)の人にとっては寝袋は流石に窮屈に感じるかもしれない。
気になる耐久性は
寝袋の普段使いを始めた当初、その耐久性については心配があった。寝袋というのはたまのアウトドアで使用する想定で作られており、日常的に使ったら半年くらいでダメになってしまうのではないかと思ったのだ。
しかし6年間、夏以外は毎日使い、月に一度はコインランドリーのドラム式洗濯機で洗濯してきたが、いまだにどこも破れることもなく、ほつれることもなく、全く問題なく使えている。流石に中の綿のふっくら感が少々損なわれてきた様な気がするが、特に機能的な問題は感じないので、もうしばらく使うつもりだ。
パッドについては3年くらいでダメにしてしまい、買い替えている。これはパッドの品質に問題があると言うのではなく、僕の使い方に問題があった。
結論〜死ぬまで寝袋で寝続けるぞ
僕にとっては、モンベルの寝袋はもう一生手放すことのできない相棒になっている。
もしも将来、もっと広い部屋に住めたり、高級なベッドが買えるくらいの収入を得られるようになっても、恐らく死ぬまで寝袋生活を続けるだろう。
そして死んだら、棺桶に入れてもらう必要などない。寝袋のまま火葬して欲しいと思う。
僕は寝袋販売組合(そんなものないか)の関係者ではないが、寝袋をそれくらい愛している。
先の能登半島地震で被災して、避難されている方に向けてモンベルが沢山の寝袋を支援物資をして提供したと言うニュースを見て胸が熱くなった。寒さに耐えている被災者の方にとって、寝袋の暖かさはとても心強いと思う。