醤油だけで味付けしてみたら思いのほか美味しかった
スーパーでモヤシとキャベツのミックス野菜を買ってきて、フライパンで豚コマ肉と炒めて砂糖と醤油で味付ける肉野菜炒めをたまに作る。ここにオイスターソースや鶏ガラスープの素なんかを入れれば更に美味しくなることは知っている。美味しくなるというのは旨味が複雑に奥深くなって、要するにお店の味に近づくということである。
自分でそのような調味料をいろいろ揃えなくとも、スーパーに行けば各種の炒め物の素がずら〜っと並んでいる。これらは炒めた材料に混ぜればもう即座に和洋中の本格的な炒め物がはい一丁出来上がり、という優れものである。
しかし、そのようなもので作った料理を食べ続けていると飽きる。最近は家で作る料理はちょっと物足りないな、くらいの味付けの方が良くなってきた。
そんな折、この間図書館で借りてきた1冊の料理本に衝撃を受けたのである。
価格:1,650円 |
角田真秀さんという料理研究家の本なのだが、その中に「炒め物の味付けは醤油だけで十分美味しい」という項があったのである。
今から10年も前、自宅に様々な調味料やスパイスを揃えていた頃の僕だったら見向きもしなかったであろうが、引き算料理を心掛ける今の僕にとってはものすごく興味を惹かれるものであった。しかし、いくらなんでも醤油だけでは味が単調すぎるのではないか。
それでこの間、実際に醤油だけで炒め物を作ってみた。
豚バラ肉とタマネギ、ピーマンを炒める。味付けは本当に醤油だけである。
早速食べてみる。
おお、十分に美味しいではないか。
確かに素朴ではあるが、肉の脂身の旨み、玉ねぎの甘味、ピーマンの苦味、それぞれの味がちゃんと感じられて、醤油がそれらをうまく引き出しつつ、まとめている。
普段、身近すぎて何も感じていなかったが、醤油という調味料の実力を見せつけられた思いだ。それぞれの個性を引き出しつつ、上手くまとめるなんてまるで金八先生のようではないか。やるなあ醤油先生!
こういう味付けの料理を食べ続けていると、味覚が敏感になるような気がする。
醤油だけの味付けと相性が良いのは肉類と、野菜だとピーマンとかレンコンとか、水分が少なくて歯応えの良い食材だと思う。
基本の味付けは醤油だけで十分、あとはその日の気分や食材によって砂糖やみりん、酒や味噌、あるいはケチャップを少しづつ足していけば良い。
またひとつ、料理の楽しさを教えてもらった。