引き算の思考でシンプル料理を楽しむ

前にもお話しした通り、僕は子供の頃から料理が好きだ。

初めて料理を作ったのは小学校5年生の時、日曜日の昼飯に焼きそばと学校で習った粉吹きイモを作ったら家族に大好評で(まあ子供が初めて作った料理だから大げさに褒めてくれたのだと思う)、それ以来料理を作って人に食べさせることが楽しみになった。

料理を覚えていくにつれ、同じ料理でももっと美味しくするにはどうすれば良いかを追求するようになり、例えば市販のカレールウを使ったカレーでもヨーグルトを加えてみたり生姜を加えてみたり、要するに同じ料理を前回よりも美味しく作るのは何かしらの食材や手間を加えていく、「プラスの思考」であった。確かに何かをプラスしていくことで料理は味に複雑さを増し、奥行きが出てプロの味に一歩づつ近づいていく。それが喜びであった。

それに伴って調味料類も年々増えていき、台所にはワインビネガーからバルサミコから各種スパイスまで年々増えていく一方であった。勿論全てを上手く使いこなすことなどできず、1〜2回使って後は埃をかぶっているような食材も結構あった。

そんな時に断捨離・ミニマリストの概念に出会い、大きな影響を受けてしまったのである。

その最中に降りかかってきた単身赴任の話である。

それまでと一転、調味料は最小限でやってみようと考えた。次に、調理も出来るだけ手間と時間を省略しながら、それでいてその限られた条件下で美味しいものを追求してみようというように考えるようになってきた。

例えば、先日冷蔵庫に古くなってきたキャベツがあったのでスープを作った。

以前であれば、キャベツの他にベーコン、タマネギ、ニンジンは必須、あればセロリとかジャガイモとかトマトなんかも入れて、まずはそれらをニンニクとオリーブオイルでじっくり炒めて、ベイリーブも入れて、仕上げにはパセリを散らして、なんていう感じで作ったものである。

しかし現在は最低限の食材しか買っていないので、キャベツ以外の食材が無い。残り物のキャベツのスープのために食材を買い足すのもなんだかなあ、と思い、キャベツを刻んで丼に入れて水と固形コンソメを放り込んでレンジで加熱、仕上げに少々の塩と胡椒、これだけで作ってみた。

食べてみるとコンソメで煮たキャベツの味、そのものである。あれこれ入れたような味の複雑さとか奥行きには欠ける。

だからといって不味くて食べられないかというとそんなことはない。キャベツの甘みはしっかり感じられる。シンプルながら、しみじみとするような味わいがある。

普段の食事はこんなものでもいいじゃないか、と最近思うようになってきた。

このような考えに至ったのは、土井善晴さんの「一汁一菜でよいという提案」を読んだ影響が大きい。普段の食事はね、そんなに美味しくなくてもええんです、というフレーズはまさに目から鱗であった。

この思考で料理を作っていると、まず食費が削減出来る。今までは残った食材の消化スープのために色々買い足していたのをやめたのだから当然である。

また、時間があればキャベツを炒めてからスープにすれば旨味が増す。時間がなければレンジにそのまま放り込んでボタン一つでOKである。

材料や手間を色々かけて美味しく作らなければという従来の観念が、キャベツスープのミニマムバージョンを一度知ったことで、料理は与えられた条件下で自由に楽しんで良いのだということに気づかせてくれた。

キャベツスープ万歳である。

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Tanoyatsu

40代半ば、妻と二人の女の子を残し、長野に単身赴任中。料理・掃除大好きのおばさん力高め男子。趣味は料理の他・ジョギング・水泳・乗り鉄。数年前から断捨離・ミニマリストに興味を持ち、「モノを極力持たないライフスタイル」をゆるめに実践中。