【単身赴任の大型連休】地図で廃線跡を探すという地味この上ない趣味

「ステイホーム」の大型連休が始まった。単身赴任先でひとり寂しく過ごさなければならず、呆然としている同士も沢山いることと思う。無論、僕もその一人である。

今回はそんな僕のマニアックな趣味を、恥を忍んで紹介させて頂く。

タイトルの通りなのであるが、鉄道の廃線跡を予備知識なしに地図や航空写真で探す、という極めて地味かつ非生産的な趣味である。

鉄道の廃線跡というのは、廃線後何十年も経っても意外と残っているものである。それは線路やホームがそのまま残っているということではない。

圧倒的に多いのは線路跡が車道・あるいは遊歩道といった道路になって残っているケースである。

廃線跡のほとんどは現役の路線から分岐していたものであるので、現役の路線の、比較的大きな駅の近くにあることが多い。線路から分岐する様なカーブを描く道路を見つけたら、「ムムッ」と思う。

↑沼津駅のすぐ西から南に分岐してカーブを描きながら南下する道路が廃線跡(出典 国土地理院)
↑航空写真だと更にわかりやすい。この線路は沼津港に通じる貨物線で海産物・木材等を運んでいた(出典 国土地理院)

鉄道は自動車と比べて小さなカーブでは曲がれないので、大きな同心円を描いてカーブする。直角に交わる道路が多い市街地の中で、それらとの整合性を無視する様なカーブで突っ切る道路があれば、それは廃線跡である可能性が高い。

それを辿っていくと、途中で新しく出来たバイパス道路や宅地に遮られたりしながらも、その先で再び現れたりする。「これは廃線跡だ!」と確信した時の興奮は言葉にし難いものがある。

廃線跡は延々と続いてどこかの町につながるローカル線だったり、あるいは工場の専用線ですぐに終点だったりもする。それらの歴史をネットで改めて調べるのも興味深い。

ちなみにこの趣味に使う地図はGoogle Mapと国土地理院である。

Google Mapは衛星写真が鮮明でかなり近寄れるのと、ストリートビューが強みである。航空写真で気になる痕跡をストリートビューでチェックすると、古い線路が部分的に残っているのを見つけられたりする。

一方、国土地理院の強みは何と言っても古い航空写真を見られることである。こちらも年々進化しており、現在の地図に昔の航空写真を重ねて見られる様になっている。これは素晴らしい機能だ。官製マップも民生に負けず頑張っている!

↑土浦駅の北から左上にカーブして伸びていく自転車専用道路は1990年に廃線となった筑波鉄道跡(出典 国土地理院)

廃線ハンターを続けていると、「廃線跡を嗅ぎつける嗅覚」というのが鍛えられてくる。ほとんど跡が残っていない廃線跡でも、線路沿いの土地の境界線がカーブを描いているのを見つけたりすると、「む、これは怪しい」と気付くのである。ちなみに、この嗅覚をいくら鍛えても日常生活やキャリアアップには全く役に立たない。

↑亀有駅東側で見つけた廃線跡。北方にカーブして分岐している。敷地に建物が立っているパターン。上方に行っても線路跡の敷地の建物だけ細いのがわかるだろうか。(出典 国土地理院)

この様な廃線跡は全国至る所にある。思いの外身近に「こんなところに昔線路があったのか」というところを見つけたりもする。

もしもこれを読んで初めて探してみようという物好きな方がいらっしゃったとしたら、「Google my map 廃線」で検索すると、予め廃線跡がマークされたマップを沢山見ることもできるので、そちらから入るのがお勧めである。

しかし、なぜ廃線跡にかくも惹かれるのか。

今は廃線となってしまった線路も、かつては多くの人や貨物を乗せて賑わった時代があった筈である。その賑やかな時代に想いを馳せながら、様変わりしつつも当時の面影を残す痕跡を辿ることに大きな浪漫を感じるのである。この感覚は、恐らく遺跡とか、城マニアに通じるところがあるのだと思う。

テクノロジーのおかげで、ステイホームでも廃線探しを楽しむことが出来るのである。

かくして、晴天の連休もせっせと地図の画面と睨めっこして廃線探しに精を出すのであった。

Tanoyatsu

40代半ば、妻と二人の女の子を残し、長野に単身赴任中。料理・掃除大好きのおばさん力高め男子。趣味は料理の他・ジョギング・水泳・乗り鉄。数年前から断捨離・ミニマリストに興味を持ち、「モノを極力持たないライフスタイル」をゆるめに実践中。