単身赴任のメリット・デメリットなんて考えても仕方ない
単身赴任のメリットはない
単身赴任のメリット・デメリットを挙げているサイトは多い。しかし、それらって実際に単身赴任を経験してみて、「まあ悪いことばかりじゃなくて少しはいいこともあるよ」という慰め程度で、単身赴任のメリットなんてものはそもそも無いのである。
家族全員で転勤先に行くことと、単身赴任すること。これら双方のデメリットを天秤にかけて、少しでも軽い方を選ぶというのが実際のところではないだろうか。
デメリットを挙げればいくつでも出てくる。経済的なこと、自身と家族の精神的なこと、特に子供が小さければ尚更、日々大きくなっていく子供の成長が見られないし、妻(夫の場合もある)一人に子育てのワンオペを強いることになってしまう。「自由な時間が出来る」「子育ての分担から解放される」をメリットとして呑気に考えている場合ではないのだ。
しかし、それらを踏まえた上で我々は単身赴任を選んでしまった。外国人から見るとこれだけ多くの人々が会社の都合で文句も言わず単身赴任をしている日本という国は異様に映るらしい。
単身赴任が日本を支えてきた?
父ちゃんが家族の元を一人離れて遠い地で働くというのは江戸時代からあったようである。和歌山藩の勤番侍、酒井伴四郎の単身赴任生活のエピソードは僕自身と重なる部分も多く実に興味深い。いずれちゃんとご紹介したい。
その後も農村における出稼ぎなど、家族を養うために父ちゃんが単身で遠い地に赴くということは日本ではごく一般的なことであった。かつては単身赴任するサラリーマンというのは出世コースと見られた時代もあったようである。我々の祖先は皆、滅私奉公で日本を支えて来たのである。
が、時代はもはや令和である。会社の命令で単身赴任をしたとしても出世が約束されるとは限らないし、会社のために自分と家族の人生を犠牲にするなんて流行らない。企業側もそれをよく分かっていて、単身赴任や本人の意に沿わない転勤は猶予する、というところも増えていると聞く。テレワークも一気に普及し、単身赴任という効率的とは言い難いシステムはこれからどんどん減っていくだろう。
デメリットを楽しむ
で、会社の都合で滅私奉公の単身赴任を初めてもうすぐ3年となる僕自身はどうか。このブログを一通りお読み頂いた方であればお分かりかもしれないが、結構楽しんでいるのである。
もちろん経済的には楽ではない。本宅の管理と子育てを妻に任せっきりの背徳感もある。こちらには友達もいないので週末はほぼ誰とも話さない。メリットなんてものは感じない。だから単身赴任が終わって家に帰れる日を楽しみに待っている。しかし、単身生活が嫌で嫌でたまらないわけでもない。もともと楽天的というか、物事をあまり突き詰めて考えるのが面倒臭いのである。単身赴任をせざるを得ない状況になったら、「ま、仕方ないな」と考えてしまう。
それにこれは僕自身の勝手な考えだが、人生に安定とか不変ばかりを求めていてはつまらない。
人生は旅だ。思いがけない方に流れていくから楽しいのである。
単身赴任を決めた以上、運命を呪っても仕方ない。デメリットだらけの単身赴任期間中も大切な人生の一期間だ。まずは健康であること。色々工夫しながら生活の中に小さな楽しみを見つけてやっていこう。
唯一のメリットは家事をはじめとする生活力が身につくことかな。