50歳になったのを機に自身の40代を振り返ってみる
先月、50歳の誕生日を迎えた。
50歳。自分自身が50歳になるまでは、50歳というのは中年も後期、人生経験もそれなりに積んで、相応の知見を持ち、どっしり落ち着いて世の中を見られる年齢、という印象を持っていた。
しかし50歳になった僕は、相変わらずキョロキョロして自信がなく、自意識過剰で、忘れ物が多く、いまだにHな動画をコソコソ見てしまう、どうしようもない中年男子である。
思い返せば40歳になった時も、同じような感想を抱き、打ちひしがれた記憶がある。
流石にこの10年で全く成長していないということはないと思いたいが、ではどこが成長したのかと問われれば即座に答える事が出来ない。すなわち、大して成長していないということになるかもしれない。
そこで今回は僕自身の40代を振り返り、どんな10年間だったか、この10年間で何が変わったかをしっかり思い出し、成長の痕跡を探してみたいと思う。
僕の40代をざっくり振り返る
僕自身の40代を主に仕事面で振り返ってみると、結構波乱万丈の10年間だった。
40歳の時に勤務先の事業所の所長になる。当時、全社の中で一番若い管理職だったので、周りからすごいと持ち上げられ、調子に乗りやすい僕は自信満々だった。僕が赴任してしばらくすると棚ぼた案件が舞い込み、売上利益も絶好調だった。
43歳の時に長野支店に支店長として転勤、単身赴任生活が始まる。意気揚々と乗り込んだ長野だったが、赴任して1年後から若手社員の連鎖退職という憂き目に遭い、神経の図太さには自信のある僕も流石にこの時は流石に参った。あれは僕が悪かったのだろうか。そうは思わないが、上司としてもっと魅力的であれば踏みとどまってくれた社員もいたかもしれないとは思う。
45歳の時、新型コロナが蔓延し会社の売上は激減した。自分ではどうすることも出来なかったが、長いこと続けば会社が潰れるかもしれないと思った。
長野支店勤務時代は本当に色々なことがあった。それでも長野は本当に良いところで今でも大好きだが。
そして49歳のこの春、6年暮らした長野を離れ本社勤務になった。
40代で僕に起きた変化
1.単身赴任になった
栃木の所長になって3年、転勤の予想はついていたし、転勤が言い渡されたら単身赴任をすることは夫婦間で決めていたので特に驚きもなく、「ついに来るべきものが来たか」という感想だった。
家事は一通り出来るので、その点で特に困ることはない。困ったのはやはり経済面だ。会社からは月一回の本宅への帰宅費用を含めた単身赴任手当というのが支給されるが、それだけで全てを賄うのは不可能で、どうしても持ち出しは発生する。しかし、転勤に際して給与も上がったし、僕自身のステップアップを図るためには、転勤は避け難いことなので長い目で見れば仕方ないことだ。
2.ミニマリストになった
40代になってから「ミニマリスト」という概念に出会い、元々シンプルな暮らしに関心のあった僕は強く興味を惹かれることになった。
しかし家族と同居ではなかなかミニマルライフを実現することは難しい。そんなところに舞い込んできた転勤とそれに伴う単身赴任。当然のこととして、自分の思う通りのミニマルライフをスタート出来ることになった。
ミニマルライフを始めて6年半になる。始めた当初とは少しミニマルライフに対する考えも若干変わった。ミニマルライフの目的が、単に物を少なくすることがではなく「生活の中の面倒臭いこと・煩わしいことを最小限にして快適に暮らすこと」と自分の中で変わってきた。だから洗濯機も買ったし、リクライニングチェアも買った。それでも一般的な一人暮らしからすると持っている物の数は圧倒的に少ないと思う。
3.運動好きになった
僕は子供の頃から根っからの運動音痴であった。体育の時間は本当に憂鬱だった。
しかし、40歳になった頃に「このまま死ぬまで運動音痴でいるのは嫌だ」と急に思い立ち、トレーニングウェアを買って走り出した。最初は2キロ走ってヘトヘトだったのだが、徐々に5km走れるようになり、10km走れるようになった。
思い切ってハーフマラソン大会に出てみた。それが思った以上にちゃんと走れたのだ。
「俺ってやれば出来る男じゃね?」と例によって調子に乗ってしまい、すっかり走ることが好きになってしまった。長野に転勤になってからはジョギングに加えて水泳も始めた。仙台に転勤になった今年からはスポーツジムに週2〜3回通っている。運動した後は飯も酒も美味いし、夜もぐっすり眠れる。40歳になったばかりの頃と今を比べると、間違いなく今の方が体力があるし、体型も引き締まっている。
あれほど運動嫌いだった僕が、運動好きになったことに自分自身が驚いているし、妻も親も驚いている。それがまた面白い。僕の40代にとって一番変わったことは、運動好きになった、ということだと思う。
4.洋服好きになった
今、40歳になったばかりの頃の自分の写真を見ると恥ずかしくて悶死しそうになる。
とにかくダサい。野暮ったい。ショッピングモールで適当に買った服を、何も考えずに着ている。それぞれのアイテムのテイストがバラバラだし、サイズも大きすぎる。よくこんな格好で歩けていたものだと思う。
40代になってから徳島の「Boysmarket」というセレクトショップを知り、そこのブログを貪るように読み、師匠である店主に倣って少しづつ買い集めていった。まず大切なのは人生を楽しむこと、服はそんな人生を彩るもの、服なんて気倒してガンガン洗濯してクタクタになった頃が一番格好いいんですよ、という教えに目から鱗が落ちた。
運動好きになったことも師匠との出会いがきっかけのひとつだ。やはり服を格好良く着こなすには引き締まった体の方が格好良いに決まっているし、
50歳になった今、持っている洋服用品の数は決して多くはないが、クロゼットに収められている服はどれもオーソドックスではあるが、上質で飽きず長く着られるものばかりだ。
よく、「服がたくさんあるのに着たい服がない」という悩みを抱えている人の話を聞く。その気持ちはよくわかる。10年前の僕がそうだったから。でも今はそんな悩みとは全く無縁だ。
まとめ
こうして自分自身の40代を振り返ると、変わっていないようで結構変わった。しかしどの変化も、最初に大きな目標を立ててそれに向かって努力した、と言えるほどのものではなく、ふと思い立って初めたことが楽しくて結果的にずっと続けている、といった程度のものばかりだ。
まあそれはいかにも自分らしいし、どれも悪いことではないので良かったと思う。
40代、嫌なことも泣きたくなるようなことも沢山あったけど、なんとか解決して、折り合いをつけて乗り切ってきた。楽しいことも幸せなことも沢山あったし、決してロクでもない40代ではなかった。
果たして50代の僕は何を思い立って初めて、どんな変化があるのだろうか。今から楽しみにしている。