【ドコモ・バイクシェア】シェアサイクルを利用して海まで行ってみた
車を手放して2ヶ月。
毎年この時期に頭を痛めていた自動車税の支払いも、自動車保険の支払いも、ガソリン代のカード引き落としもなくなった。
人生がガラリと身軽になった。
しかし、当然ながら良いことばかりではない。
一番困ったのが休日の行動範囲がぐっと狭くなったことだ。
何せドライブ好きの僕は、前の単身赴任先の長野では休日にちょっと思い立って車を走らせ、気づいたら100km以上走っていたなんてことはザラだった。
それが仙台に来て車を手放してからは、歩ける範囲・公共交通で行ける範囲にしか行けなくなってしまった。
自宅の向かいにはタイムズのカーシェアリングの拠点がある。いざという時にはこれを使おうと会員登録はしたのだが、休みの日「ちょっとドライブでも行ってみっか」と思い立っても、半日借りるとなると5,000円はかかかるので、「やっぱやめとくか」となってしまう。
そんな僕が今回初めて使って見たのが、同じく自宅向かいにあって気になっていた「DATE BIKE(ダテ・バイク)」というシェアサイクルだ。
『DATE BIKE(ダテ・バイク)』とは
「DATE BIKE」は、宮城県仙台市で展開しているシェアサイクル。実施主体は仙台市で、運営は(株)ドコモ・バイクシェアという会社が行なっている。
長野から仙台に来た時、街中で赤い電動アシスト自転車がたくさん走り回っているのを見て驚いたが、よく観察すると街のあちこちにこの赤い自転車が並べられている拠点(ポート)を見つけ、これは便利なサービスがあるものだなあと感心した。
調べてみると入会金や年会費といった費用は一切なく、初めの1時間が¥165、以降30分ごとに¥165と実に安い。
この赤い自転車、こないだ東京都内でも見かけた。全国のあちこちで展開しているようだ。残念ながら長野市や本宅のある栃木県には未だないようだけど。
ドコモが携わるシェアバイク事業は全国40ヶ以上
ドコモ・バイクシェアが運営しているシェアバイク事業は運営に直接携わっている事業が全国で13ヶ、運営を委託してシステムだけ提供しているのが全国で30ヶある。
システムだけ提供しているシェアバイクはルールも料金もそれぞれ違う。
ちなみに仙台では仙台市が実施主体となる「DATE BIKE」と、実施も運営もドコモ・バイクシェアが行う「Uminote cycle(ウミノテ・サイクル)」という二つのシェアサイクルがある。ウミノテ・サイクルは2011年の東日本大震災で津波被害の大きかった沿岸部にポートを持っており、震災遺構巡り向けという位置付けのようだ。
ちなみに、DATE BIKEのエリア内であれば借りたポートと返却するポートは違っても構わないが(Uminote cycleも同様)、DATE BIKEで借りた自転車をUminote cycleのポートに返却することは出来ない。
ドコモ・バイクシェアの利用はとても簡単
1.必要なもの
- スマートフォン
- クレジットカード ※d払い(ドコモ電話料金合算払い)も可
2.アプリをダウンロード・会員登録を行う
スマホに「バイクシェアサービス」アプリをダウンロード、必要事項を入力して会員登録を行う。最近急激に老眼が進みスマホの入力が苦手になった僕でも5分くらいで出来た。
3.ポートを探し空き状況を調べる
シェアバイクの拠点となるポートの場所はアプリ内のマップで検索出来る。ポートにある空き自転車の台数と、一台一台の充電状況までわかる。アプリから予約も可能だ。
4.ポートに行き解錠して出発!
ポートに行く。アプリでQRコードを読み込んで開始ボタンを押すと自動的にカチャンとリング型のロックが解錠されるので、いざペダルを漕いで出発である。
違う操作パネルを搭載した自転車もあり、こちらはパスコードを入力してロックを解除する。
5.目的地に着いたら返却作業を行う
出発したポートに帰った、もしくは出発したポートと違う目的地のポートに到着すると、パネルの返却可ランプがチカチカ点滅する。ロックをかけてから後ろのパネルの「返却」ボタンを押せば完了なのだが、おっちょこちょいな僕はここで大きなミスを犯してしまった。詳細は後ほど…
実際に海まで走らせてみた
日曜日の13時、自宅の向かいのポートから新しそうなな自転車を選び、解錠作業をして自転車を発進させる。自転車に乗るのは高校生以来約30年ぶりだ。恐る恐る漕ぎ出してみたが、運動音痴の僕でも自転車の感覚は覚えていたようで、ちゃんと真っ直ぐ走らせることが出来た。
自転車に乗ること自体30年ぶりなので、当然電動アシスト付自転車も初めての経験だ。特に漕ぎ出しの時、上り坂の時は電動アシストのありがたさをつくづく感じる。
自転車の速度感、これが実にいい。
ジョギングよりは早いが、車よりはずっと遅い。田植えが終わったばかりの田んぼからの甘い稲の匂い、開花し出した栗の花の匂い、いろんな匂いを感じながらのんびりと自転車を走らせる。
天候は薄曇りで歩くのにはちょうど良い陽気だが、自転車で風を受けて走るのでフーディニジャケットを羽織ってきて正解であった。
しばらくしてサドルに当たる部分のケツが痛くなってきた。考えてみると自転車のサドルのような局部的な圧をケツに与えるのは久しぶりだ。
しかし思ったより海になかなか辿りつかない。ケツの痛みと闘いながらペダルを漕ぐ。乗り出しの時30%だったバッテリー残量が20%になり焦る。後になって知ったのだが、ほぼバッテリー満充電の自転車もあったのだ。数ある自転車の中からなぜこれを選んだのか、今になって自分を恨んでも時すでに遅し。エコモードにして出来るだけバッテリーを消耗しないように走る。
大津波の時、図らずも堤防の役割を果たした「仙台東部道路」という高速道路の築堤をくぐると、景色は一変してどこまでも続く荒涼とした平地になっている。
来る前は流石にもう津波の痕跡は残っていないだろうと予想したのだが、津波でやられたのであろうベコベコの車が置かれている廃車置き場があったり、津波で鉄板の壁が破壊されたと思しき倉庫の骨組みだけを資材倉庫にしている会社があったりと、13年経ってもところどころに津波の名残が残っている。
荒涼とした平野を漕ぎ続け、ようやく海近くに辿り着いた。
近くにあった「かわまちてらす閖上」という、飲食店や物販店が立ち並ぶ新しい施設に寄った。休日だけあって多くの人々で賑わっていた。アイスコーヒーを飲んでケツの痛みを癒す。
海岸線から1km以上離れたここにも右の堤防の一番上くらいの高さまで津波が押し寄せたらしい。この松は津波に洗われても逞しく生き残っている。一方平地には新しい住宅もポツポツ建っている。
結局往復で25kmくらいの自転車旅となった。ケツの痛みを別とすれば、電動アシストのお陰で疲れは感じない。久々に自転車を漕いだのはとても楽しかった。
ポートに帰着し、これで無事終わりと思ったのだが、僕はここで大きなミスを犯してしまう。
本来であればまずリング式のロックをかけてから返却ボタンを押さなければならないのだが、解錠が自動で行われたため、施錠も自動で行われると勘違いしてしまい、ロックをせずに返却ボタンだけ押してそのまま離れてしまったのだ。
1時間くらいたってから今日の利用料金を確認しようとアプリを開いたら、まだ「利用中」の表示が出ている。慌ててポートに行くと、僕が乗った自転車が施錠されていない状態で置いてあった。
自転車が盗まれなくて良かった…
シェアサイクルは車なしミニマリストにとって強い味方だ
車を持たない僕にとって、ちょっとしたお出かけの時、自転車があればとても便利だ。しかしそれほどヘビーユースするわけでもないので、わざわざ購入するのはちょっと躊躇してしまう。
その点、借りたい時に借りたい場所でぱっと借りられて、好きな場所に返せるシェアサイクルは、車なしミニマリストの僕にとって強い味方になってくれそうだ。
次はシェアサイクルでどこに行こうか、今から楽しみにしている。