ひとりの時間を楽しめる人とは、ふたりでいても楽しい
土曜日の夕方はほぼ毎週長野市営の「サンマリーン」というプールに行く。昨日も行った。あらかじめ水着を着てその上にバミューダパンツを履いていくのだが、昨日はうっかり、帰りに履くパンツを忘れてしまった。仕方がないのでノーパンでバミューダパンツを履いて帰ってきた。しかも途中でスーパーで買い物までしてしまった。
思わず少しドキドキしてしまった。いけないおじさんである。
どうしようもない話から始めてしまったが、本題に戻ろう。
一人で過ごす休日を楽しむことが出来るか
同じく単身赴任の境遇にある同士のブログなんかを拝読していると、特に単身赴任初心者の方は一人で過ごす休日を持て余しているという方が実に多い。僕も最初はそうであった。ジョギングだけは単身赴任前からやっていたのだが、ジョギングから帰ってきて昼飯を食べると後はやることがない。本宅にいた時は野菜作り、庭づくりに夢中になっていたのだが、こちらではお預けである。マンションでじっとしているのは苦手だから、とりあえず車で出かけるのであるが、ひとりで観光スポットやショッピングモールに行ってもつまらないし、結局ブラッと回って帰ってきて休みは終わり、という感じであった。
そこに安くて美味い食堂巡りとか、水泳とか、ブログ作りとか、徐々に趣味が増えていき、今はひとりであっても時間を持て余す、ということはない。ひとりの休日を楽しむことが出来ている。
話は変わるが、図書館で山田詠美と阿部譲二の「人生相談劇場」という本を読んだ。その中に60歳を過ぎた主婦の、「モーレツ社員だった夫が定年後じっと家にいるのが苦痛、今では脱ぎ捨てられた靴下や食べっぱなしの食器を見るだけで腹が立って仕方ない。経済的に自立できないから離婚も出来ず、この生活を続けるしかないと思うと病気になりそう」という相談があった。
実に身につまされる相談ではないか。
我が家は今は共働きで、しかも僕が単身赴任の為、夫婦はお互いの世界を持っている。しかも僕が単身赴任であるから、顔を合わせる機会は月に一度ほどしかない。会える機会が少ないと恋しい気持ちや気遣いも生まれるし、単身赴任してからは喧嘩もほぼない(少なくとも僕はそう思っているが、妻がどう思っているからわからない)。
しかし、定年後互いにずっと家にいて四六時中顔を合わせるとなるとどうだろうか。少なくともその状況に慣れるまでは、多かれ少なかれ互いにストレスを感じることと思う。慣れて平気になればそれはラッキーだ。先の相談者のように、一緒にいるだけで病気になりそう、などとなったらこれは悲劇以外の何者でもないではないか。
病気になりそうな相手と一緒に暮らすくらいだったら、生活保護でも受ける覚悟で離婚した方が幸せだろうにと思うが、そうそう合理的に行動出来るわけではないのが人間である。
一人遊びができない人は二人遊びもできない
回答の中で、詠美さんが「一人遊びができない人は二人遊びも出来ない。だから(この相談者は)夫と別れて一人になっても多分つまらないと思う」と言っていた。なるほど、辛辣ではあるが確かにそうだ。
仕事の日は多くの人達と関わるし、やるべきルーティンワークも沢山ある。しかし、休みの日の過ごし方、特に一人だと自分で自由に決められる、というか自分で決めなければ何も出来ない。
特にこれといった趣味がなくてひとりの休日を持て余してお嘆きの単身赴任のあなた、これは将来奥さんとの二人暮らしをうまくやっていくための貴重なトレーニング期間と考えてみてはいかがだろうか。
別に趣味といった大袈裟なものでなくとも良い。読書でも良いし散歩でも良いのである。僕もどちらも好きだ。ただ、自分なりにテーマを決めるとより興味深く、奥深いものになる。例えば僕は鉄道大好きで、特に廃線跡に欲情するという特殊な性癖を持っているのだが、「よし、今日はここの廃線跡を歩いてみよう」と決め、鉄道が走っていた頃の痕跡を探す、という散歩だとこれが実に楽しい。その後図書館の郷土資料コーナーに行き、現役当時の様子を調べたり写真を見たりすると、その線路の歴史についての知識を深めることが出来る。それにこんな趣味であれば、特にお金もかからない。
自分の飯を作る。自分の着た服は自分で洗濯する。自分の余暇は自分ひとりで楽しむことが出来る。これらのスキルを身につけておくことは、これからの時代男女関係なく必要なことだ。自分の生活を自分で確立できる人は、他人の生活も尊重出来るし、老後、再び伴侶とうまく2人暮らしが出来るのではないかと思うのだ。
さあ、単身赴任が終わる頃には「ひとり上手」になることを目指して一緒に頑張りましょう!(決して変な意味ではなく)