【離婚危機!?】単身赴任を6年半続けて夫婦関係はどう変わったか
単身赴任を始めて6年半が経過した。
妻と結婚してから22年になるから、その三分の一近くを別居で過ごして来たことになる。
月に一回程度は本宅に帰っているのだが、一緒に過ごせるのは年間で約1か月程度の日数だ。
こういう生活をこれからも続けて、果たして良いのだろうかと時折考える。
「単身赴任 夫婦関係」で検索してみると、単身赴任で離れて暮らしている夫婦は離婚率が2倍、などという恐ろしいことを書いているサイトもあるが、それらは眉唾だ。なぜなら日本では国勢調査で単身世帯がどれくらいかというデータは持っているけれど、それは独身者も単身赴任も夫婦仲が悪くて別居している人も十把一絡げで計上されているからだ。
僕は今まで単身赴任している多くの人とお話ししてきたが、単身赴任が原因で夫婦仲が決定的に悪くなった、それが原因で離婚したという人とは出会ったことがない。むしろ同居はしているが諍いが絶えず、家庭内別居状態、という人には結構出会ってきた(商談中にこんなことばかり話しているんだな)。
単身赴任が必ずしも夫婦関係の悪化につながるとは限らないけれど、つながらないとも限らない。
今回は僕自身が単身赴任したことによって夫婦関係がどう変わったか、夫婦関係を維持するために気をつけていることについてお話ししたい。
単身赴任6年で起きた夫婦関係の変化
コミュニケーションの時間が減った
一緒に過ごす時間が激減したから当然と言えば当然なのだが、これが一番大きい。ただ、一緒に暮らしていた頃はいつでも聞き直せるからと、妻の話を上の空で聞いたり、覚えておかなければならないことを忘れたりして、妻を怒らせてしまうことが結構あった。
今、妻とのコミュニケーションの時間は減ったが、その時間はとても貴重と感じるので、同居時と比べるとちゃんと真剣に話を聞くようになった。
喧嘩が減った
上と繋がることなのだが、一緒に生活していた頃は、大きな喧嘩こそ滅多になかったが、小さな諍いというのは定期的にあった。僕は平和主義なので喧嘩は本当に嫌でストレスなのだが、そもそも喧嘩の大抵のキッカケは僕の無神経な態度や発言に端を発することが多い。会話の絶対的な時間が減ることで喧嘩発生の機会も減り、僕自身が反省して気をつけるようになったこともあり喧嘩の回数は激減した。
妻に対する気遣いの気持ちが強くなった
単身赴任を始めた時は二人の娘はすでに中学生になり、それほど手はかからなくなってはいたが、それでも家や庭の管理、近所付き合いや町内会の仕事など、自宅を構えることに伴うやらなければならないこと、これを妻がほぼ一手に引き受けなければならなくなる。彼女自身も仕事を持っているので、当然負担が大きくなる。文句も言わず「いいよ」と言ってくれる妻には感謝している。
本宅に帰った時には僕が夕食を作ったり、庭を綺麗に手入れしたり、普段手の届かないところの掃除をしたりと、妻の負担を少しでも減らそうという気遣いの気持ちが強くなった。
妻に対して異性としての感覚が蘇った
一緒に暮らして10年も経つと、お互いに家族と言う感覚が強くなり、「異性」という感覚は弱くなってくる。休みの日はだらしない格好に無精髭と寝癖で妻と過ごすことになんの抵抗もなくなってくる。これはこれで必ずしも悪いことではないと思うけれど、少なくとも刺激的ではない。
それが、単身赴任を始めてからは妻と会える月一回の帰宅の時は、きちんとした格好をして、髪も一応セットして、鼻毛など出ていないかチェックしてから帰るようになった。だらしない姿で妻の前に出て失望させたくないと思うようになった。
妻に対して、結婚前や新婚当時のような「男」としての意識が少し蘇ったのかもしれない。実際、単身赴任してから妻に「少し若返った」と言われたことがある。「浮気してんじゃないの?」と少し疑われたが…涙
単身赴任がもたらす離婚危機の要因と対処法
浮気
僕は浮気なんて面倒臭いし、お金もかかるし、そもそも妻以外の女性にもはやあまり興味がないので今更したいとも思わない。他人が浮気しようがいまいが、僕に何を言う資格もないのだが、寂しさの埋め合わせで浮気などしてそれがバレて離婚に至った場合、裁判だの慰謝料で多大な手間とお金がかかる。コスパとして考えると極めて非効率だ。まあ浮気する人はこんなこと分かっててやるんだろうけど。
経済的な価値観のすれ違い
夫婦にとってお金の問題というのは重要だ。お金に対する価値観のすれ違いは離婚の大きな要因になりうる。
単身赴任はお金がかかる。どうしてもかかる。そこで夫が「料理なんて出来ないもんね」と毎食外食で食べたいものを食べたり、また一人で週末を過ごすのが寂しいからと毎週ゴルフなんかで散財して家計の赤字がどんどん増えたら、本宅で節約に励んでいる妻からしたら、「私はこんなに努力しているのに、あなたはやりたいことばかりして」と不満は溜まる一方だろう。
お金に関することは夫婦で常によく話し合って、どちらか一方の不満が溜まらないようにしておくことが大切だ。
相手がいなくても平気、むしろその方が良いと気付いて(気付かれて)しまう
単身赴任で夫婦別々に暮らして、最初のうちは寂しい思いをしたが、しばらく経って慣れてくるとだんだん平気になり、むしろいない方がストレスがなくていいわ、やはり離婚してお互い別の人生を歩みましょう、なんて相手に言い渡されるのはとても悲しい。
子供がいれば、子供を育て上げようという夫婦共通の目標が絆を保ってくれる。しかし、子供が大きくなって独立してしまうと、今度は自分自身のこれからの人生について考えるだろう。残りの人生、単身赴任でずっと離れて生活してきた相手と、定年後再び一緒に暮らして幸せかとジャッジされるのだ。
その時に「この人と残りの人生も一緒に暮らしたい」と思われるためには、日頃からの気遣いと少々の緊張感も必要だ。
恋人関係であれば、相手に嫌われたら振られておしまいだ。だからその関係には一定の緊張感があるが、婚姻関係を結んだ以上、多少のことでは離婚なんてされないだろうと油断していると、定年のタイミングで突然離婚届を突きつけられるというテレビで見たような悲惨な状況に陥らないとも限らない。結婚後も相手への気遣いと、少々の緊張感は必要なのだ。
単身赴任でも良好な夫婦関係を維持するために僕がやっていること
朝と夜にはLINEで挨拶を送る
毎朝、家族の共通ラインで「おはよう」、夜は夕食の画像を送るようにしている。これでお互いの生存確認と、「浮気なんかしてませんよ、家でちゃんと食べてますよ」というメッセージを兼ねている。お金の話とか、夫婦二人で話したいことは夫婦だけのトークルームで話す。
月曜日の夜はLINE通話でお話しすると決めている。東京に住む長女と、本宅の妻と次女の4人で他愛のない話をする。この時間を楽しみにしている。僕は1時間くらいでギブアップするが、妻と娘二人は日付が変わるくらいまで話しているようだ。
記念日にはプレゼントを贈る
妻の誕生日とクリスマスには必ずプレゼントを贈るようにしている。贈るのはほぼ洋服だ。女性の服を男が選ぶのはなかなか大変と思われそうだが、僕と妻は洋服の趣味はある程度共通しているので失敗はない。最近の例を挙げるとジョン・スメドレーのニットとか、パタゴニアのフリースジャケットをプレゼントした。それなりの価格はするが、折角のプレゼントだ。どうせなら少しいいものをということで奮発した。
別に高いものでなくてもいいと思うし、何を買うか迷ったら妻と一緒に買いに行くのもいいし、夫婦水入らずで美味しいものを食べに行くのもいいと思う。
単身赴任は夫婦関係の改善のチャンスになる
単身赴任は、夫婦関係を悪化させるリスクにも、改善させるチャンスにもなりうる。
僕らの場合で言うと、同居したいた頃はお互いにいること、何かやってもらうことが当たり前になってしまって、感謝よりも文句や不満の方が多く、お互いを気遣う気持ちが足りなくなっていたのではないかと反省している。
それが単身赴任することで、妻が色々してくれたことの有り難さに気付いたので、最初は照れ臭かったがちょっとしたことでも感謝を口に出して伝えたり、記念日にはプレゼントを送ったりした。これが妻にも少しは伝わったのかもしれないし、僕と同じような気持ちを持ったのかもしれない。今の夫婦関係は極めて良好だ。もっとも、月に一回程度しか会えないのにその度喧嘩ばかりではもう終わりなのだが。
しかし、今は良好であっても時間の流れとか、お互いの生活の変化とか、加齢につれて夫婦関係も常に変わっていくだろう。夫婦といっても元々は全く違う環境で育って来たのだ。それまで歯車が上手く噛み合っていても、ある時を境に噛み合わなくなる時が来ないとも限らない。
そうなったらその時考えるしかない。先のことを心配していても仕方ない。さ、今日も妻におやすみメールをしてから寝よう。