【食品の値上げラッシュの秋】を乗り切るための3つのシンプルな対策

スーパー大好きの僕であるが、最近食品の買い物をすると、「値上がりしたなあ」と感じることが多い。一回あたりの買い物だと値上げの金額はせいぜい数十円程度であろうが、チリも積もれば、で年間の支出増で見るとバカにできない金額となるかもしれない。

食品値上げによる家計の負担増は約7万円

帝国データバンクの試算によると、食品の値上げによる家計の負担増額は一世帯当たり約7万円に上るのだという。世帯と言っても単身世帯と5人家族世帯では当然違ってくるが、3人の家族を残して単身赴任生活を送っている僕の場合、家族全体でこれくらいの支出増は想定しておく必要があるということだろう。

僕自身、食品の販売会社に勤めているため、一年半ほど前から食品の値上げについてはヒシヒシと感じている。今年に入ってからそのペースは加速し、10月はこれまでにない数の商品が値上げとなる。もはやこの2年くらいで値上げをしていない商品の方が希少で、サラダ油やマヨネーズのように複数回値上げをしているものもある。

値上げの理由は?分かりやすく解説

食品・食材の世界的な値上がり

この20年、物価も賃金もほぼ変わらないのは先進国の中では日本だけ、というのは既に皆さんご存知の通りである。世界的には、物価も所得も上がり続けている。特に経済成長を続ける中国、急激なインフレにあるアメリカなどは顕著である。それらの国から食品・食材を仕入れる場合、ずっと同じ価格というわけにはいかない。

また、世界的な気候変動によって、農作物が予想通りに収穫出来ないケースが増え、これも食料の価格に影響を与えている。例えば今価格が急激に上がっている食用油は、原料の一つであるカナダ産菜種の不作の影響である。

さらに、人間界はこの3年間新型コロナのせいで大パニックに陥ったが、家畜の世界でも疫病の大流行というのは頻繁に起きる。昨年卵や鶏肉が高くなった記憶をお持ちの方もいらっしゃると思うが、あれは国内の鶏インフルエンザの大流行が原因であった。

為替の影響

外国で食品を買い付けて輸入しようとした場合、為替が1ドル=110円であれば1ドルのものを買うのに110円払えばよかったのに、1ドル=145円であれば同じ1ドルのものを買うのに145円払わないと買えない。輸入して国内で売るためには値上げしないとやっていけない。これは食品・食材そのものに限らず、作物を育てるのに不可欠な肥料や飼料も同じである。従って国産の農産物・畜産物も値上げしないとやっていくことが出来ないのである。

物流コストの高騰

ロシアのウクライナ侵攻の影響もあり、今年に入ってから原油価格は急上昇している。それに加えてアメリカ西海岸の労働者のストライキ、上海のロックダウンの影響などで海運が滞り、コストアップになっている。ストライキ・ロックダウンの影響は落ち着きつつあるが、海運運賃は依然高止まりのままであり、元の値段に戻ることは期待出来ない。また、国内に持ってきてからも高い燃料代、トラックのドライバー不足で輸送費は高騰しており、食品値上げの大きな要因となっている。

外国に買い負けている

マグロ・エビ・カニといった人気の魚介類、牛タンなどの肉類などは需要が急激に高まっている中国、好景気の米国などに高値で大量に買い付けられてしまい、そもそも日本に入ってくる量が慢性的に不足している。もはや食材によっては安い高いの前に物がない、という状況に陥っているのである。物がなければ当然価格は高騰する。もはや100円寿司でも100円で商品を提供するのは難しい状況であるというニュースは記憶に新しい。

値上げラッシュから家計を防衛する節約術

このように、食品の高騰は世界的規模のいろいろな要素が絡み合って起きており、決して一時的なものではない。1年後の今頃どうなっているかはわからない。さらに値上げしているかもしれないし、良くてもせいぜい今と同じ水準か、物によってごく僅か下がっているといった程度だろう。

これだけ急激に物価が上がれば、企業は賃上げの必要に迫られるであろうが、3年にわたるコロナウィルスの影響で業績が悪化している企業では、それもままならないだろう。賃上げ出来る企業であっても、来月から急に給料を上げることは出来ないし、そもそも給料の値上げで物価の急上昇分をちゃんとカバー出来るかはわからない。

まずは、自分で家計を防衛する必要がある。今回は食費に焦点を絞り、朝夕は95%自炊派の僕の実行している自炊のささやかな節約術をご紹介したい。

野菜中心の食生活にする

食品食材の価格は全体的に上がっているとはいえ、野菜は相対的に安い。

食卓のメインボリュームを野菜にすることで、食費が抑えられ、栄養バランスも改善できる。健康であることは1番の節約法である。決して手の込んだ料理でなくて良いが、これから寒くなっていくこの季節、茹でる・蒸す・煮るなど加熱調理して食べるのが特にお勧めだ。

合わせ調味料は買わない

スーパーに行くと、和洋中の合わせ調味料の充実ぶりには目を見張るものがある。肉と野菜など指定された2〜3種類の食材を揃えれば、あとは料理初心者であっても失敗なく出来るという優れものだ。味付けにいまいち自信がない、という方にとっては強い味方になってくれるだろうが、どれも味付けが濃く、毎日食べるとどうしても飽きる。しかも調味料としては結構価格が高い。

僕は合わせ調味料は使わず、数少ない手持ちの調味料を駆使して味付けする。確かに様々な旨味の入った合わせ調味料と比べると素朴な味になるが、慣れれば十分に美味しい。潔く味付けは醤油だけ、としても味わって食べればこれはまたしみじみと美味いものである。

腹8分目で満足する習慣をつける

僕は今はジョギングや水泳、自重筋トレを少しづつではあるが続けていることもあり、メタボとは距離を置けている。運動の他に心がけているのが、「お腹一杯になるまで食べず、腹8分目でやめておくこと」である。

単身赴任を始めた頃は、お腹一杯になるまで食べないと満足出来ず、買い物に行った時もメインのおかずを買ったにも関わらずついつい刺身やポテトサラダやプリンなどを追加で買ってしまっていた。

若い頃は腹一杯食べても全然平気だったのだが、40代も半ばになると胃腸が疲れるのが感じられるようになるし、油断するとすぐに腹回りに贅肉がつく。そこで試しに腹8分目でやめてみたところ、体が軽く、実に調子が良いのである。最初は物足りなく感じたが、1週間もすれば慣れる。健康に良く、食費も節約出来る。

値上げは悪いことばかりではない

家計を直撃する食品の値上げ、歓迎する人は少ないだろうが、僕自身は必ずしも悪いことばかりではないと思っている。なぜならこの20年、物価も所得も上がらない日本の閉塞状況にかなり乱暴ではあるが風穴を開けたし、値上げしたくても出来なかった生産者や、小規模な販売者の状況を少しでも改善するきっかけになったと思うからである。

だから僕自身、仕事柄ということもあるが、お気に入りの食堂やラーメン屋が値上げしていたら、「よくぞ勇気を持って値上げしてくれた!」と称賛したい気持ちになる。無理して値上げを我慢しても、その店の寿命を縮めるだけだ。値上げして経営状況が改善すれば、後継者が現れるかもしれない。どうか飲食店の値上げについては、ご理解を頂きたい。お願いします。

節約生活を面白がろう

値上げラッシュから家計を守る為、切り詰められる所の節約は必要だ。しかし僕らも生身の人間である。節約、節約ばかりでは生活に潤いも、楽しみもなくなってしまう。

それでは仕事を頑張る活力も出ないし、良いアイデアも浮かんでこないだろう。家で一人発泡酒を飲むばかりではなく、たまにはお気に入りの居酒屋で一人で飲む、あるいは休みの日の昼下がり、雰囲気の良い喫茶店でコーヒーを飲む、そんな遊び・エネルギーチャージの時間は必要だ。

そんな遊び・エネルギーチャージの時間を自分にしっかり確保するために、普段の自炊はメリハリをつけてしっかり節約する。

必要なのは節約生活を面白がることだ。面白がれば長続き出来るし、節約のスキルが身につく。そしてこのスキルは将来必ず自分自身の役に立ってくれるだろう。

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Tanoyatsu

40代半ば、妻と二人の女の子を残し、長野に単身赴任中。料理・掃除大好きのおばさん力高め男子。趣味は料理の他・ジョギング・水泳・乗り鉄。数年前から断捨離・ミニマリストに興味を持ち、「モノを極力持たないライフスタイル」をゆるめに実践中。