ちょっと待った！単身赴任者が犯しがちな食品保存の間違い
安全であることが何よりも大事
単身赴任を機に、これまで奥さんに任せきりだった料理にチャレンジする、という単身赴任のお父さんも沢山いることと思う。
とても素晴らしいことだと思う。
いずれ本宅に戻る時が来るはずだが、その時夫婦で継続的に家事を分担できるよう、一通りの家事能力を身につけておくことは必要だ。
自炊をするにあたって一番大切なことは「安全である」ということだ。勿論「美味しく」とか「安く」というのも大事だが、まずは包丁で怪我をしたり、食中毒に遭わない、などの「安全である」ことが一番大事である。しかし意外と食中毒の事故って多いのである。それらはちょっとした知識を身につけることで避けられることが多い。
自炊を始めた単身赴任パパが犯しがちな間違い
1．カレーはまとめて作って毎日加熱して食べ続ける
これをやっている人は結構いるのではないだろうか。僕の会社の部下の独身男性もやっていた。週末にまとめて作って、それを何日にもわたって食べ続ける。カレーライスだけでは芸がないということで、1日目はカレーライス、2日目は焼きカレー、3日目はカレーうどんとアレンジを加えたりしている。
で、肝心のカレーは鍋で作ってそのままガスコンロ上に放置している。食べるたびに火にかけて加熱するから大丈夫と思っているようであるが、これが危険だ。
ウェルシュ菌という細菌がある。これは肉や魚、野菜といった幅広い食材に付着している細菌なのだが、これが空気に触れないところ、すなわちカレーの鍋の底みたいなところが大好きなのである。そして時間が経つにつれ、芽胞という殻を作り、これに包まれた菌は加熱しても死滅しなくなるのである。これがカレーが冷める途中の温度帯で一気に増殖し、それを食べると腹痛や嘔吐といった食中毒症状に見舞われるのである。どうです、恐ろしいでしょう。「一晩寝かせたカレーは美味しい」とよく言われる。確かにそうだが、欲張って何日分も作らないこと、残ったら粗熱が取れたら直ちに冷蔵庫に入れることだ。
2.卵の賞味期限が過ぎたら茹で卵にして保存する
生卵というのは生の食品の割にはずいぶん賞味期限が長いな、と思った方、あなたは鋭い。卵の殻には目に見えないほどの細かい穴が沢山開いており、中の卵は呼吸しているのである。そう、生の卵は生きているのだ。しかし茹でたら、それはもうその瞬間から調理済み食品である。茹でたからと言って賞味期限がさらに伸びるということは決してない。調理したら直ちに食べなくてはならない。ちなみに、生卵に表記されている賞味期限は生卵の状態で美味しく食べられる期限で、加熱すれば少し過ぎても十分安心して食べられる。ただし、ヒビが入った卵はダメである。ヒビが入っているのに気付いた卵は勿体無いが捨てよう。
3.炊飯器の中でご飯を放置する
僕はずっとパック入りご飯を愛用しているが、炊飯器でご飯を炊く、と単身者も多いだろう。何食分かまとめて炊く、という方もまた多いと思う。問題は炊き上がったご飯をどのようにしておくか、ということだ。炊飯器の保温機能を使用すると、半日も経つとご飯が黄ばんでパサついて嫌な臭いがつく。かと言ってスイッチを切って炊飯器の中に置きっぱなしにして置くのは危険だ。セレウス菌という細菌が繁殖して食中毒を起こす危険性がある。変な臭いがしないから、あるいは炒飯など加熱調理すれば大丈夫だろうというのは誤解だ。セレウス菌も芽胞を作り、加熱しても死滅しなくなるのである。恐るべし芽胞。炊き上がったご飯は粗熱が取れたら直ちにラップに包んで冷凍しておくことだ。
4.ジャガイモを明るいところで保存する
「ジャガイモの芽は食べたら毒」というのを聞いたことがある方もいるだろう。ジャガイモの芽には「ソラニン」という毒素がある。これを許容量以上摂取すると、嘔吐、腹痛、めまいなどの中毒症状を起こす場合がある。またソラニンは芽だけではなく、皮にも含まれている。特に明るいところに置いておいたジャガイモはソラニンを生成しやすい。ジャガイモを保存する時は流しの下の収納スペースなど暗いところで保存すること。新じゃが以外は皮を厚めに剥くことである。何より、ジャガイモは使う分だけバラで買うのが一番良い。
それと昨日たまたまテレビで見たのだが、生焼けの椎茸を食べてアレルギー反応を起こす場合もあるらしい。僕もこの間生焼けで食べちゃったな…。思いがけないところで食中毒というのは起こるのである。コロナも怖いが食中毒も怖いのだ。
決して難しいことではない
しかし、正しい知識さえ持っていれば食中毒は必ず防ぐことが出来る。僕は仕事の必要上「食品衛生責任者」である。飲食業や食品を扱う会社では必ず責任者を置く必要がある。これは難しい試験のある「食品衛生管理者」とは違い、講習を1日受ければ誰でもなれる（途中で講習をばっくれたりしなければ）程度のものではあるが、今回の記事を書くに当たりテキストを会社の棚から引っ張り出してまとめてみた。
単身赴任を機に料理を始めた同士、あるいはこれから料理にチャレンジしようという方の少しでも参考になれば幸いである。まずは安全に、自炊を楽しみましょう。
