スパゲティは、怖い
スパゲティが好きである。子供の頃から好きだ。子供の頃はもっぱら母親の作ってくれたケチャップ味のミートソーススパゲティであった。これが美味しかった。当時は世の中にスパゲティというのはこれしかないと思っていた。
大人になってから様々な種類のパスタ料理があることを知り、食べることは勿論、作ることも好きになった。今でもパスタ料理というのは大得意で、時々作る。
しかし、スパゲティというのは美味しいのは間違いないが、同時に怖い。
「何を訳のわからんことを言っているのか」と思われるだろうが、何が怖いのかお話ししていきたい。
ファミレスなんかで出てくるスパゲティというのはソースを別として、麺は大体250G程度である。茹でる前の乾麺の状態だと100Gとなる。茹でることによって実に2.5倍に増えるのである。で、この100Gの乾燥スパゲティというのが実に心許ない。
秤なんてものは持ってないので大体目分量で鍋に100G程度のスパゲティを投入するのだが、「これじゃ3口で食べ終えてしまうのではないか、目分量を測り違えたのではないか」と慌てて追加投入してしまう。
特に腹が減っている時が危ない。スパゲティを大量追加し、かくして丼一杯のスパゲティが出来上がる。ソースは一人前であるから、ソースが足りない味気ないスパゲティをゾゾゾと啜り込むことになる。
このような失敗を、未だに続けてしまうのである。「前回も失敗したのになぜ学習しないのか、俺はダメな人間だ」と落ち込み、泣きたい気持ちになる。実に情けない。これで「パスタが得意料理です」などというのは気が引ける。
目分量に頼っているのが悪いのだと思う。しかしスパゲティだけのために秤を買うのもちょっと癪である。
調べてみたら、良い目安が紹介されていた。
ペットボトルの口にちょうど入るくらいの量が100Gなのだという。また、袋の隅を3cm開く様に切ると、ここから出てくるスパゲティが大体100Gらしい。これはいい情報を頂いた。早速実践してみたいと思う。
しかし、それでもいまいち自信がないのである。腹が減っている時は、「もう少し食べられるはずだ」と追加投入し、また大量のスパゲティができて途方にくれる自分の姿が目に浮かぶ。
つくづく、スパゲティは怖い。