単身赴任先に妻が来た!

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タイトルに「!」をつけるのは恐らく初めてだと思うが、今週末は少なくとも僕自身にとっては単身赴任生活の中でも記憶に残る週末であった。タイトルの通り、単身赴任先に妻が来たのである。

「来た!」などと書くと、僕が愛人とベッドの中にいるところを、突如押しかけてきた妻に発見されて阿鼻叫喚の地獄絵図に陥った、という展開を期待されそうであるが、決してそんなことはない。

実は一昨日の金曜日、ようやく2回目のワクチン接種を受けたのである。ワクチン接種後にひどく体調を崩したり、突然亡くなってしまう人も(ワクチンとの因果関係についてはあくまで不明であるが)いると報道される中で、接種後の週末に1人でいると心配だからわざわざ車で3時間かけて泊まりがけで付き添ってくれるというのである。

これを会社で話したら「すごい」「愛されてる」「うちだったら250%ありえない」と驚かれた。確かにありがたいことだ。しかし250%というのもすごい。

金曜日の夜、ワクチン接種を受けて6時間ほど経っていたが、いつも以上に徹底的に部屋の掃除をした。体毛の一本も落ちていることも許さない勢いで、まるで若い頃初めて出来た彼女を自宅に招くときのような緊張感があった。

妻が長野に来るのは3回目である。引越しの時、それから単身赴任を始めて1年が経った頃にも遊びに来た。ただしいずれも2人の子供を伴って来たので、妻1人で来るのはこれが最初である。

接種翌日の土曜日の明け方、寒気で目が覚めた。実際にちょっと寒かったのだが、この時点で少し熱があったと思う。熱冷ましの薬を飲んだら寒気は収まったが、熱が出たときのようなボーッとして足元がおぼつかないような感覚がある。いわゆる倦怠感というやつだろう。昼飯を食べに出かけた以外は、家でおとなしく過ごしていた。

夕方、朝のパートを終えてから妻は4時間かけて本当にやって来た。最近はそんなに長時間運転をすることがないと聞いていたので心配したが、結構涼しい顔をしてやって来た。自分の寝袋持参である。

夕食のおかずも作って持ってきてくれた。日持ちするものだったのでこれは後で頂くことにして、折角来てくれたお礼に評判の良いトラットリアに連れて行った。この頃には倦怠感もすっかり収まり、僕もお腹が減っていたのである。イタリアンなんて1人で食べに行くことはまずない。それに妻と2人きりで外で食事なんていつ以来だろうか。出会った頃の気分を少しだけ思い出し、見慣れた長野の夜の風景も新鮮に見えた。

その後2人でマンションに戻ったが、経過観察中の身であり、極めて健全に何事もなく大人しくそれぞれの寝袋で寝た。

翌日、朝は2人で善光寺まで散歩して、その後蕎麦を食べに行き、留守番の子供にお土産を買って妻は帰った。さっきまで妻がいた部屋はいつもと同じ光景のはずなのに、妙にガランと感じる。

せっかく長野に1人で暮らしているのだから、何回かは家族を遊びに呼びたいと思っていたのだが、コロナ(と実際には費用の問題)のために3年半で1回しか実現していない。しかし皮肉なことに、コロナのために今回妻が1人で来てくれたのである。「うちは250%ありえない」という人に比べ、僕はなんと恵まれていることであろうか。

この1年半、コロナのお陰でこれは良かった、ということは一つもなかったけれど、そんな中であった僕の一生の思い出になる出来事として記しておく。

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Tanoyatsu

40代半ば、妻と二人の女の子を残し、長野に単身赴任中。料理・掃除大好きのおばさん力高め男子。趣味は料理の他・ジョギング・水泳・乗り鉄。数年前から断捨離・ミニマリストに興味を持ち、「モノを極力持たないライフスタイル」をゆるめに実践中。