地方都市に単身赴任するということ

長野に単身赴任して4年目となった。流石に3年もいると、大まかな地名と、大通りの名前と、人気のラーメン屋、飲み屋なんかは大体分かってくる。スーパーも野菜はここで、刺身はここが強いみたいなのも大体わかってきた。県民性の特徴も徐々にわかって来て、最初は戸惑ったカルチャーショックも楽しむ余裕が出てきた。

長野市は人口37万人ほどの中規模都市であるが、地形的にもともと他の地域との交流が盛んではなく、それゆえに独自の文化が発達している。またそれゆえに市民のプライドは高い。

群馬県と長野県を結ぶ碓氷峠なんて、今でこそ新幹線も高速道路も出来て東京からの最短ルートとなっているが、ほんの25年前まではどちらもなく、鉄道は勾配が急なので自力では登ることが出来ずに補助の機関車をわざわざ付けて登り降りしていたようなところなのである。もしも僕が25年前に栃木から長野に単身赴任していたとしたら、片道の移動もそれこそ1日がかりで、お盆や正月といったまとまった休みがなければ家族のもとに帰ることもままならなかったことと思う。

少し前までは、やはり一度は東京に赴任してみたい、東京で仕事をしてみたいという気持ちがあったが、このコロナ禍を経験して大分気持ちが変わってきた。

何せ東京は絶対的に人が多い。ステイホームにうんざりして、ちょっと外の空気を吸いに公園に行こうと思っても、その公園は同じことを考えた人たちでごった返したりしている。

それに東京のどこかに住んでも、東京の全地域の美味い店を自分の足で網羅することは現実的には不可能だろう。

例えば東急線沿線に住んでいる人が、東武線とか西武線沿線の美味い店まで隅々網羅することは難しいと思う。

そういう意味では人口約37万人の長野市は実に丁度良い。3年も暮らしていれば大体のところには行けるが、行き尽くした、というところにはそう簡単に至らない。今でも新しい発見が常にある。

長野市と同じくらいの規模の都市を調べてみた。

  • 長崎市(約40万人)
  • 富山市(約41万人)
  • 岐阜市(約40万人)
  • 横須賀市(約39万人)
  • 宮崎市(約39万人)
  • 和歌山市(約35万人)
  • 奈良市(約35万人)
  • 川越市(約35万人)

どうだろう。どこも実に住みやすそうな街ばかりではないか。決して小さな街ではないが、どこに行っても人人人、というほどでもない。都市の文化的な恩恵(百貨店も美術館も映画館も古い喫茶店もある)は享受出来ながら、その気になれば人との距離も十分保てる。豊かな自然も近くにある。

長野市に転勤が決まった時、「どうせならもう少し大きい街に住みたかった」と思ったのが率直な感想である。しかし3年間この街に住んでみて、さらにこのコロナ禍を経験して、長野市くらいの都市の住みやすさをつくづく感じる。長野にいつまでいられるのかはわからないが、次に住む街もこのぐらいがいいと、最近は本気で思っている。

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Tanoyatsu

40代半ば、妻と二人の女の子を残し、長野に単身赴任中。料理・掃除大好きのおばさん力高め男子。趣味は料理の他・ジョギング・水泳・乗り鉄。数年前から断捨離・ミニマリストに興味を持ち、「モノを極力持たないライフスタイル」をゆるめに実践中。