被災地から離れた場所にいる僕らが被災した人たちのためにできることを考えてみる

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令和6年1月1日16時10分、能登半島沖を震源とするマグニチュード7.6という大変大きな地震が起きた。

13年前の東日本大震災以来となる大津波警報が発令され、津波の被害が発生した。

輪島市中心部では多くの家屋が倒壊し、また大きな火災が発生して、これを書いている現在(令和6年1月3日19時)の時点で、石川県内で65人もの方が亡くなった。

新型コロナの脅威から久々に解放された正月だったから、遠くに住む家族が帰省して水入らずの団欒を楽しんでいた方も沢山いたと思う。亡くなられてしまった方と残された家族は本当に気の毒だ。

心からご冥福をお祈りします。

普段は長野市に住んでいる僕にとっては、能登半島北部の被害の大きかった地域までは直線距離でたったの130kmほどだ。

それでも長野県は今回の地震ではこれといった被害はなかった。

僕は日本のどこかで大きな災害が起こるたびに悩んでしまう。

災害に遭って大変な思いをしている人が沢山いるのに、100kmそこらの距離にいる僕は何の不自由もなく日常生活を送れている。風呂にも入れるしエアコンの効いた部屋でこんなブログを書いている。

しかしそんな僕でも、被災して苦しんでいるみなさんの力になれることはあるのではないか。

2011年の東日本大震災の時、同じような思いで自宅のある栃木県から宮城県の亘理町・山本町におよそ1年間にわたって延べ15回くらいボランティアで津波の被害に遭ったお宅の片付けに行った経験がある。

そこで被災された方にお話を聞かせてもらったり、ボランティアセンターになっていた社会福祉協議会の状況を見て感じたところがあった。

そんな経験も踏まえて、被災地から離れた場所にいる僕らが出来ること、あるいはすべきではないことについて考えてみたい。

被災地から離れた場所にいる僕らが出来ることって何だろう

被災地への物資支援はもう少し待て

被災地に親戚や知人がいる場合、直接食料などの物資を送ることは被災者にとって大いに力になれることだと思う。

しかし、被災地へ通じる道路はあちこちで寸断されているらしく、通常時のように届けることは不可能だ。実際、ヤマト運輸も現在(1月3日時点)で石川県・富山県の被災地宛の荷物の受け入れを停止している。

現在、多くの人たちが道路の復旧や、空路や海路を使って被災地に支援物資を送る手段を確保するために必死に働いている。

被災地の親戚知人に物資を直接送るのは、交通インフラが復旧するまで待つほかない。

今、個人で被災地に行くことは厳に慎む

テレビでは、被災地の避難所のスタッフが「食料・飲料水・毛布・生理用品が足りなくて困っている」と訴える様子が何度も放映されている。

近所のスーパーに行けばそれらの物資が不自由なく手に入る環境にある僕らは、なんとかしてあげたいと思う。

よし、いっちょ自分自身で自動車を運転して直接届けよう、とお考えになる方もいらっしゃるかもしれない。実際に、SNSでは被災地に車で支援物資を届けた、という投稿も複数あるらしい。

しかし、被災地はまだまだ混乱しているし、道路もあちこちで寸断されている。

支援に行くつもりが、途中で立ち往生して結局現地の人に助けを乞う様では本末転倒だ。また現地はガソリンや軽油といった燃料が不足していており住民が困っているという。被災地の燃料は生命を守る緊急車両にとってはなくてはならないものだ。それを現地からの要望が出る前に自己判断で中途半端な量の支援物資を持って押しかけて、現地で燃料補給したのでは、被災者にとって迷惑以外の何者でもない。

今の段階で被災地に自己判断で赴くことは、厳に慎もう。

物資の供給は大きな組織や企業に任せ、僕ら個人は金銭的に応援する

現地でさまざまな物資が不足しているというのを聞いて、状況が整ったら個人で少量でも物資を直接送りたい、と考えている方もいらっしゃるかもしれない。困っている被災者を助けたいという気持ちは尊いが、実際には個人が少量の支援物資を送ったところで、現地のスタッフの負担になるだけだ。

僕は宮城県にボランティアに行った際、社協のロビーに山積みにされた、全国から送られてきたにもかかわらずなかなか被災者の手に届かない多種少量の支援物資を見ている。支援物資は避難所にいる人に平等に配布されなければならない。100人いる避難所の方々に、「水が80本しかないから20人は我慢してね」というわけにはいかないのだ。

被災地への支援物資は出来る限り一元的に、一度に大量に供給出来る組織や企業に任せた方が間違いなく効率的でスピーディーだ。僕ら個人はバラバラに動くのではなく、供給は彼らに任せ、金銭的に彼らの行動を支援する(企業であればそこの製品や株式を購入する)というのが一番ではないだろうか。

もしも少量あっても物資が必要、という発信が被災地の自治体や社協からされたのなら、その段階で彼らが望む方法で物資を送りたい。

ふるさと納税の「災害支援寄付」で被災した自治体に直接金銭支援が出来る

ダイレクトに被災した自治体にお金を支援出来る方法が、ふるさと納税の「災害支援寄付」だ。

返礼品はないが、寄付した自治体から「寄付金受領証明書」というのが発行されるので、通常のふるさと納税と同じく確定申告やワンストップ特例制度を使用することで、所得税・住民税の控除の対象となる。

多くのふるさと納税の仲介サイトでは、災害支援寄付に伴う事務手数料を負担している。また寄付に伴う事務作業をしている余裕がない被災自治体に変わり、被災していない代理の自治体が事務手続きを代行しているケースもある。

新しい形の寄付ではあるが、とても素晴らしいシステムだと思う。今回僕もこのシステムを使って金銭支援をしてみるつもりだ。

可能であればボランティアに参加、今は準備に専念

最後に災害復興ボランティアに参加したのは2015年豪雨で茨城県で鬼怒川が決壊した時、常総市に泥除去の活動に行った。もう8年以上もブランクがあるが、今回は日帰りで行ける範囲でもボランティアでお手伝い出来ることがあれば、ボランティアセンターの受け入れ態勢が整うのを待って参加しようかと思っている。

ボランティアは被災地にボランティアセンターが設立されて、ボランティア活動の要請が発信されてから行くことが鉄則だ。ボランティアセンターは活動を必要とするお宅と、ボランティア活動に来た人の調整を行い、必要な場所に必要な人数を効率的に派遣する役割を担っている。

くれぐれも要請が出る前に勝手に被災地に赴き、勝手に活動することがあってはならない。ボランティアセンターが開設されるのは現地で人命救助が一通り終わり、現地に赴く交通インフラが復旧してからになる。おそらくあと2〜3週間はかかるだろう。

ボランティア活動は現地の被災者の負担になることがあってはならない。具体的には食事や飲料は予め持参しておくこと、断水の地域ではトイレが使えないので携帯トイレを用意しておくこと、ガソリンは被災地に入る前に満タンにし、現地で給油しないこと、無断で画像撮影などしてSNSに自慢げな投稿などしないこと。

ボランティア活動は主に津波を被ったお宅の泥の除去、家具の運び出し、清掃、また地震で住めなくなったお宅の家具の運び出しといった作業になるだろう。

必要なのは安全長靴、釘を踏み抜いても怪我しないインソール、ヘルメット、防塵マスク、ゴーグル、ゴム製の軍手、携帯トイレなどだ。ヒートテックなどの汗を発熱に変える下着は御法度だ。冬であっても結構な汗をかくことが予想されるので、あっという間に汗冷えしてしまう。お勧めは僕の愛用しているモンベルのジオラインとかパタゴニアのキャプリーンなど、発散性に優れたアンダーシャツだ。

また忘れずに加入しておくべきなのがボランティア保険だ。ボランティア活動中の事故や怪我に対応してくれ、多くのボランティアセンターはこれへの加入を参加条件にしている。出発前に地元の社協で加入しておこう。

今はこれらの準備を完璧に行い、ボランティアセンターからの受け入れ要請を待ちたい。

まとめ

地震が起きて丸2日。現地ではいまだに行方不明になっている方の必死の救出作業が行われている。

今の段階で僕らが具体的に出来ることは、まずは金銭面で物資のスムースな供給を支援すること。被災地の状況を気にかけて、何が必要なのかをこまめに確認すること。行動出来る時が来たらいち早く行動出来るように準備をしておくこと。

被災された皆さんの、ほんのわずかでも力になれることを長期的にやっていきたい。

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Tanoyatsu

40代半ば、妻と二人の女の子を残し、長野に単身赴任中。料理・掃除大好きのおばさん力高め男子。趣味は料理の他・ジョギング・水泳・乗り鉄。数年前から断捨離・ミニマリストに興味を持ち、「モノを極力持たないライフスタイル」をゆるめに実践中。