【単身赴任の小さな楽しみ】居酒屋で一人飲みを楽しんでみる

皆さんは、一人で居酒屋に飲みに行ったことがあるだろうか。

僕はあります(キリッ)。

ま、自慢するほどのことでもない。しかし、友人とあるいは職場の仲間と一緒に飲みに行ったことは若い頃から数えきれないほどあるが、一人で飲みに行くというのは実は40歳を超えるまで未経験であった。大人になってからずっと地方在住で、通勤もずっと車で、家の近くに居酒屋なんてものがロクにない環境だったので、わざわざ一人で飲みに行く機会がなかったのである。

しかし、一人で飲むことにずっと憧れは持っていた。きっかけは太田和彦さんの著書を読んだことである。一人飲みって楽しそうだなあ、粋で格好いいなあ、いつか行ってみようと思いつつ、この歳になってしまった。

長野に単身赴任で来て、駅前の繁華街まで歩いて10分くらいという好立地に住むことになった。

一人暮らしなので誰にも気兼ねする必要がないし、繁華街にもふらっと歩いて行ける。一人飲みに行くのにこんな好環境があるだろうか。

長野に来てからすぐに他人と飲みに行く機会には何度も恵まれたのだが、その度に「この店は一人で来るのに相応しいか」という視点でのチェックを密かに欠かさずしていたのである。

そしていよいよ、初の一人のみデビューの日を迎えた。時は新型コロナウィルスが猛威を振るった一年目の感染ピークの合間である。ターゲットに選んだのは近所の焼き鳥屋。少し前に会社の部下と来た店である。味はまあまあであったがどれも安く、気取らない雰囲気が一人飲みデビューにふさわしかろうということで訪問した次第である。若干緊張して引き戸を開けると、思いの外客が多く、いくつかあるボックス席はサラリーマン連れの客で満席である。カウンターの隅っこに腰掛けたが周りが騒がしく居心地がいまいち良くない。というか正直なところウィルスの飛散が怖い。結局生ビール一杯と焼き鳥数本で早々に引き揚げた。

少々苦い思い出になった一人のみデビューであったが、その後何軒かの店に一人で訪れ、ようやくお気に入りの店を見つけることが出来た。

一人飲みにふさわしい店かを見極めるポイント

  • チェーン店ではなく個人店である程度長くやっている店であること
  • 店の外にまで騒ぐ声や、ましてやカラオケの歌声など聞こえないこと
  • あまり大箱ではなくこじんまりした店であること
  • ガラス張りや横文字の店名など、若者向けのおしゃれではない店ではないこと
  • メニューが多国籍料理や創作料理やエスニック・アジアン料理ではなく、あくまで伝統的な和食中心であること

※あくまで僕個人の独断と偏見によるものであるから、上記に当てはまる店でも一人飲みにふさわしい店は沢山あると思う。

今一番お気に入りの店は

今、長野で一人飲みに行くのにお気に入りの店が、長野駅善光寺口から徒歩3分の「千石食堂」という店である。昭和24年創業の老舗である。基本的には年配の主人ひとりで切り盛りしており、店内は実に雑然として、それなりの広さの店内ではあるが実際に客席として使えるスペースは半分程度である。しかしこの店が実に居心地が良いのだ。僕はもともとレトロ食堂巡りを趣味としており、その一環で見つけた店である。

居酒屋探訪家の吉田類の「酒場放浪記」でも紹介されたことがあるらしい(まだ見たことないけど)。

親父さんの作る料理は、昔からの味をずっと守っている感じである。盛り付けも気取ったところはない。しかしどれを食べても美味いのだ。ここの名物、モツ煮はあっさりした上品な味付けで、それゆえに本来クセの強いモツ本来のクセが少し残されている。今はなんでも「クセがない」のが良しとされているが、嫌味でない程度のクセが実にビールに合うのである。

モツ煮と生ビールを注文し、ビールを飲み終えたら日本酒を一本、締めに支那そば(これがまた美味い)。これで¥2,000でお釣りが来る。客が少なければ、親父さんやホール係のおばさんとちょっと話を交わしたり。

ほろ酔い気分で外に出れば、転勤で来るまでは自分の人生に全く縁のなかった長野市の繁華街の風景。酔いのせいか、こんなところで一人で暮らしている自分自身が改めて面白く、そして愛おしくも思える。

そうしょっちゅう行くわけではないが、たまの一人飲みが味気ない単身赴任生活の小さな楽しみとなっている。

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Tanoyatsu

40代半ば、妻と二人の女の子を残し、長野に単身赴任中。料理・掃除大好きのおばさん力高め男子。趣味は料理の他・ジョギング・水泳・乗り鉄。数年前から断捨離・ミニマリストに興味を持ち、「モノを極力持たないライフスタイル」をゆるめに実践中。